1992年制作、マルグリット・デュラスの自伝的小説の映画化。ジャンジャック・アノー監督。
クレジットカードのポイントをいつもamazonギフト券に変えているのですが、また見たいなあと常々思っていたこの映画のDVDをポイントで買いました。
主人公15歳半、舞台は1920年代の仏領インドシナのサイゴン。
私はこの本を大学生の頃読んだのですが、詩的な文章と物語全体に漂う冷めた雰囲気が好きでデュラスを何冊か読みました。
この本は表紙の写真(デュラス本)に惹かれて購入したように覚えています。どんな風に生きてきたのかしら、この人は、と強く訴えかけてくる印象的な顔。
その後断捨離をしてデュラスの本は手放しましたが、この「愛人」だけは最後まで残り今は電子書籍に入っています。
アノー監督はこの話を、ラブストーリーであり優れた文学作品、と言っています。
私は、果たしてこれはラブストーリーなのかしら?と疑問に思ってしまうのだけれど、素敵な文学作品、というところは同感です。
ジャンヌ・モローの語るデュラスの文体が詩的で、また映画の雰囲気もけだるく寂しげで、絵を眺めるような感覚の映画だと思いました。
なかなかの露出のあるベッドシーン、人によって感想は様々だと思いますが、私は絵を見る様な感覚で見ていられました。15の少女と静かで弱い男、という設定だったからかもしれません。
また、もうひとつの魅力はその時代を再現したエキゾチックな風景や街並みです。
壮大なるメコン川や田園地帯のゆったりとした自然描写、比して人や馬車やクラッシックな車が行き交う賑やかな街並み、2人が逢瀬を重ねる部屋の扉一枚外にある庶民の街の昼下がりの喧騒、レンズ越しに伝わってくるじっとりと蒸し暑い熱帯の空気。
若い時見た時はそれほどいいとは思わなかったのですが、今はすごく好きな映画です。自分が変わったのでしょうか。こんな時、人生って面白いなあ、と思います。
好き嫌いが分かれる映画だと思いますのでオススメ!とは言えませんが、静かな寂しさや切なさが余韻として残る、そんな雰囲気のある映画です。
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